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山行記録:北アルプス 槍ヶ岳-南岳

www.beeches.jp mountain report:M1123:Date:20100909-11 Yarigatake Minamitake:Shinhodaka(Gifu-pref.)

山行記録 M1123 2011年9月9-11日 槍ヶ岳-南岳:新穂高(岐阜)


今年2回目となる北アルプス歩きの機会を得、昨年と同じ槍-笠のルートの再チャレンジを目指したが、槍-南岳を歩くのんびりとした山旅となった。


中岳 大喰岳 槍ヶ岳 南岳より

昨年の槍-笠ガ岳を廻るプランは最終日の天候が悪く、笠ヶ岳山頂を踏まずに下山した。再チャレンジを考えていたものの、プランを実行に移す機会に恵まれなかったが、突然そのチャンスは訪れた。週末は黒戸尾根の予定がキャンセルとなったのである。
とはいえ、全くもって準備不足である。しかも、この7月の雲ノ平に500mlビールをカートンで担いで悠々とあるいていた彼らに刺激され、酒持参、食料の重量も増やす試みも追加した。そのため55Lザックに収まらなくなり、急遽車に積んだ大型ザックを背負うことになった。かなり重くなったとはいえ、担げない重さではない。それよりも準備不足で仮眠をとる時間が無くなったのが痛かった。
さらに、天気がよいはずの初日、予想外の雨、雨、雨。結局のところ、かなりの予定変更を経て、槍から南までの稜線歩きに落ち着いた。
【山域】北アルプス 槍ヶ岳-大喰岳-中岳-南岳 新穂高
【場所】岐阜県
【日時】2011年9月9-11日
【コース】新穂高-槍平小屋-飛騨乗越-槍ヶ岳山荘-槍ヶ岳-大喰岳-中岳-南岳-南岳小屋-槍平小屋-新穂高
【メンバー】単独
【装備】通常幕営装備(スパッツ、ストック等) / Garmin60CSx
【撮影】Canon G10 / Nikon D700 24-120
【天気】Day1 雨 Day2 晴  Day3 快晴
【地図】笠ヶ岳 穂高岳 槍ヶ岳(高山)


Day 1
4.58 1090m 新穂高登山指導センター
6.35 1585m 白出沢出会
8.05 1750m 滝谷出会
9.15-20 1985m 槍平小屋
10.40 2300m 最終水場 飛騨乗越方面
11.30 1985m 槍平小屋

Day 2
5.30 1985m 槍平小屋
8.45 3010m 飛騨乗越
9.00 3130m 槍ヶ岳山荘
9.20-9.45 3180m 槍ヶ岳
10.05-10.15 3130m 槍ヶ岳山荘
10.35-40 3010m 飛騨乗越
11.20-25 3101m 大喰岳
11.10 3081m 中岳
12.08 3032.7m 南岳
12.20-13.20 2975m 南岳小屋
15.40 1985m 槍平小屋

Day 3
7.00 1985m 槍平小屋
8.00-10 1750m 滝谷
9.00 1585m 白出沢出会
10.35 1090m 新穂高登山指導センター


Day 1
新穂高の無料駐車場に到着し、ザックに荷物を詰め始める。ところが、いつもの55Lのザックに収まりそうにない。そこで大型ザックに変更して、荷物を詰める。こちらには余裕である。しかしザックカバーを忘れてしまった。天気はよいはずと、準備を済まて駐車場を後した。ところが、登山指導センターに来た頃には、”ぽつぽつ”としずくが落ち始める。
途中国道41号では星空だった。そのため少雨程度と安易な気持ちでいた。ところが、新穂高登山指導センターで入山届けを出すと、雨は本降りとなった。それでも小一時間で止むだろうと、レインウエアを着込む。ザックカバーはないが、荷物は全て防水パックに収まっているので、ザックは濡れても衣類や食料が濡れる心配はない。とりあえず槍平を目指した。

しばらくは樹林に覆われた林道を歩くため、時折ザッと来る雨以外はそれほど気にならない。林道終点の白出沢、さらに進んで滝谷避難小屋まで来たが一向に止まない。沢はまだ増水はしておらず、そのまま渡ってしまう。いつもより重い荷物と雨にちょっと気分が滅入り、しばらくレリーフを眺めていたが、意を決して槍平小屋へ向かう。小屋の前では下山組みと登り組みが雨を恨めしそうに見ながら休憩していた。
当初は南岳を回って槍ヶ岳という計画であったが、すでに槍ヶ岳へ直接向かうことを考えている。下山者の話ぶりでは、強風で西鎌尾根をあきらめて下山してきた人もいるらしい。そんな話を聞くとこのままここでテントを張ろうかと思ったが、まだ十分な時間があるので飛騨乗越へ向かうことにした。
ゆっくりと標高を上げてゆくこの道は長いだけが欠点である。最後の水場まで来ると、風も出てきた。明日は今日よりも悪い予報と解しているので、稜線で幕営するのは気分的に気が進まなくなっていた。今の状況からすると、明日笠ヶ岳まで歩くのはきつそうである。最終水場で下山してきた幕営組みの長老と話をして、さらに迷った。最終的に楽な道を選ぶ事にした。(今から想像すると、高気圧と高気圧の若干の谷間での雨で、南からの湿気が多く、思いのほか長く雨を降らしたものと思われた。つまり、この穏やかな気圧の谷が通過するであろう明日には晴れる可能性が高いということである。)
槍平まで戻り幕営の受付をすませた。管理人に明日の天気を訪ねると、今日の午後からはよい天気のはずで、明日は良好とのことである。”失敗した”と思ったが、いまさら登り返す気力はなかった。

Day 2
爆睡の後、目を覚ますと外はまだ暗く、テントのジッパーを開けると星が目に飛び込んで来た。すぐに準備を始めたが、昨日のうちに済ませておくべき準備がなされいない。結局、まわりが明るくなってから登り始めることになった。十分な休息に、足取りは軽い。それもそのはず、テントは槍平に張ったままである。視界が良好なうちに槍ヶ岳でパノラマを味わい、その後南岳まて行って、獅子鼻から大キレットを見下ろした後、南岳新道を下るという周回ルートを選択したからである。

足取りは軽いものの、のどが”いがらっぽい”。どうやら風邪を引き受けたようだ。昨日、ザックを重く感じたのは、荷物が増えたためだけではなかったようだ。最終水場で水を補給するはずだったが、なんと見落としてしまう。なにか今回の山旅はうかつなことが多い。今日一日の最低限の水は確保しているが幸いで、そのまま先を急いだ。とはいえ少々心もとないが、小屋は2箇所にあるのでいざとなれば買うだけだ。
飛越乗越までは陽が差し込まず、サングラスも日焼け止めも不要であった。2900mあたりから強い日差しが差し込んできた。早速、日焼け止めローションを塗り、ザックからサングラスを取り出すとなんと蔓が折れている。これでは使い物にならない。なにか今回の山旅はなにか歯車の噛み合わせが悪いようである。


槍ヶ岳より望む穂高連峰

帽子を深くかぶって、登り始めると、すぐに飛越乗越である。ここはすでに3000m超の世界で、常念など表銀座の山々が姿を現した。テント場となっている岩場を抜けると槍ヶ岳山荘である。その先に、槍が小槍を従えて鎮座していた。雲はなく絶景が望めそうである。さっそく岩に取り付いて山頂へ出る。昨日の雨でやや雲は多いが、思ったとおりの大パノラマである。山頂でゆっくりと腹ごしらえしながら、しばし北アルプスの山並みを楽しんだ。もちろん富士も姿を見せている。


西鎌尾根の先の山々

山荘前のライブカメラスポットに戻り、槍を振り返った。昨年、ここから友人に電話したのを思い出した。それはぐっと堪えて、空いているベンチを探した。小屋のアルバイトさんたちはベンチでティータイムらしい。その手前のベンチは女性一人だったので、向かい側に荷物を置かせてもらった。畳んでいたストックを伸ばして南岳に向かう準備をする。穂高方面は荒々しい岩肌がはっきり見て取れるが、雲が昇り始めている。なんとか隠れる前に南岳の獅子鼻まで行こうと先を急いだ。


大喰岳から中岳の稜線にて 笠ヶ岳

槍ヶ岳から南岳方面は主に穂高への大キレット越えの登山ルートとして知られているが、3000mを超える大喰岳、中岳、南岳と三峰が続く稜線はあまり知られていない。あまりに槍ヶ岳と穂高が有名すぎて不遇な扱いをされている。二つの秀峰の間ではむしろ大キレットやその先の飛騨なきの方が有名であろう。しかもちょっと寂しい事実がある。山と渓谷社の旧分県別登山ガイドに南岳-中岳-大喰岳が紹介されていた。ところが新装版では南岳のみのピストンの紹介になってしまった。3000m峰が4つも続くこの尾根は当に不遇な山に思われる。


中岳

飛越乗越を過ぎると大キレットを目指す登山者が中心なのであろう、かなり静かになる。飛越乗越を過ぎるとまずは岩塊の大喰岳に登る。山頂部は広く、写真を撮るには其々の方向の端に行かねばならない。山頂で槍ヶ岳を撮り、登山道へ復帰すると、一人の女性が歩いてきた。先ほど荷物を置かせてもらったベンチの女性である。黄色いザックと白地に黄色い模様のスカーフをキャップを覆うように結んだスレンダーな女性だ。3000mを越える広い稜線は本当に気持ちよく”よい天気ですね”と言葉を交わすと、まるで稜線に吹く爽やかな風ようにしなやかさで過ぎて行った。


表銀座の山々

笠ヶ岳の山頂は見え隠れするのを繰り返していた。表銀座は秋の日差しを全身で受け止めている。正面の穂高連峰は稜線の先に見え隠れする。振り返れば槍ヶ岳である。石が敷き詰められた道をゆく稜線歩きが楽しくないはずが無い。しかし、写真を撮りながらゆっくり歩いたためか、南岳まで来ると穂高連邦に厚いガスに昇って来た。谷から吹き上げる風に乗ってガスが流れるので、時折、雲間に奥穂高の山頂が姿を見せる。南岳小屋の脇を通って大キレットが見渡せる獅子鼻と呼ばれる岩場に行く。ここでゆっくり昼食を摂りながら、ガスが一瞬晴れるのを待つことにした。それにしても、もってきたゼリーがうまい。


獅子鼻より常念岳 その常念をバックにフルーツゼリーを食べる

待っている間に、流れるガスの間から一瞬黒い北穂の岩稜がわずかに見えたが、北穂と分かるまでの姿にはならない。北穂を覆うガス、大キレットを通過するガスの幾重もが同時に切れ間を合わる偶然が重なって初めて実現するのだが、これ以上待っても奥穂高岳が姿を現すことはなさそうである。
常念岳や槍の穂先も時折ガスの影響で姿を隠すようになった。槍平への下りは、梯子も鎖場もある急な下りである。時間にゆとりをもって降りることにした。南岳小屋の前を通ると野営場になっており、数張のテントが張ってある。明朝も大キレットを隔ててみる穂高は朝日に輝くことであろう。ちょっとテントを担がなかったことを後悔したが、先には立たない。
ガレた道を下ってゆくと丸木が渡してある橋、稜線に登り返す二段の金属製梯子、続いて鎖場が現れる。救急箱も設置してある整備された登山道である。この登山道は上高地群発地震による崩壊のため1999年に新たに開通した新道である。新しい道というのは急峻なところを通ることも多いが、このルートも樹林帯に入ると随所に梯子がかけられている。開通から10年以上が経過しているため、木で作られた梯子はかなり傷んでいるところが随所に見られる。標高1000mを一気に下るため、足が疲れて来たところに、怪しい梯子である。慎重に下る。
小屋が見えるところまで下ると南沢に向かってゆく。谷からは太鼓らしき音が響いてきた。どうやら南沢あたりの岩の上で気持ちよく演奏しているようである。南谷に出ると河川敷の岩場をしばらく降りる。ここで演奏を終えて引き揚げる音の主に出会った。二三言葉を交わして、樹林帯の中に入る。小屋はすぐそこである。
受付を済ませてテントに戻り、テント周りに荷物を広げた。昨日の雨で濡れたものをできるだけ乾かすのである。その後は日暮のゆっくりとした時間を焼酎で楽しんだ。

Day 3
奥丸山に登れば眺望がよいというので、昨夜はちょっとこころが向いていたが、気力に欠ける。天気はよいのだが、さっさと下山することにする。途中、写真を撮りながらのんびりと降りた。それでも予定より早く登山指導センターに無事到着。雨に降られて予定通りとはいかなかったが、いい山旅であった。ゆとりある旅は、いいものである。
駐車場で濡れたテントを、すこしでも乾かそうとテント、マットなど広げた。下界はよい天気である。

Latest update:Sep 15, 2011

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